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なぜ1は素数ではないか?【素因数分解】 [算数研究室【小学生向け】]

1とその数自身以外に約数を持たない整数を素数と言います。
例えば,5は1と5以外では割り切れないので素数ですね。
素数を小さい順に並べると,
2,3,5,7,11,13,17,19,・・・
となりますが,通常1は素数とはしません。
1は,1とその数(1自身)以外に約数を持たないのですから,定義に当てはまっていると言えば当てはまっているのです。

では,なぜ1は素数としないのでしょうか?

良くある解釈としては,
「約数が2つある整数が素数であって,1は約数が1つしかないから素数ではない」
というものだ。

もちろん,そう解釈しても間違いではないとは思います。
しかし,1を素数としない本当の理由は他にあります。
本来の素数の意味を考えれみると,1を素数としない理由が見えてきます。

〇素因数分解

素数以外の整数を,いくつかの整数の積に分けてみます。
例えば,
6=2×3
とできます。12であれば,
12=2×6
となりますが,6はさらに2×3に分けられるので,
12=2×6=2×2×3
と分解できます。
このように,整数を素数の積で表すことを「素因数分解」と言います。
2=2
3=3
4=2×2
5=5
6=2×3
7=7
8=2×2×2
9=3×3
10=2×5
のように,1以外のすべての整数は素数の積で表現できるのです。
そういう意味で,かけ算の世界では,素数はすべての整数の素(もと)と言えるのです。
素因数分解することで,その整数がどのような整数なのかが見えてきます。
例えば,その整数がどのような数で割り切れるのかが分かるので,その数の約数が分かり,さらに約数の個数も素因数分解を見ると計算で求めることができます。

〇素因数分解の一意性

ある物事がただ1つに決まることを一意的と言います。
かけ算の世界では交換法則があるので,2×3も3×2も等しく,かける順番には意味がありません。なので,a×bもb×aも同じと考え,かける順番を無視すれば素因数分解は一意的に決まることになります。
例えば,
12=2×2×3
以外に,12の素因数分解はないのです。

では仮に1を素数としたらどうなるでしょう?

12=1×2×2×3
12=1×1×2×2×3

のように,12の素因数分解が何通りもできてしまうことになります。
このような事が起きないよう,1は素数としないことになっているのです。

また,素数はかけ算の世界では「数の素(もと)」となる数です。
1以外のすべての整数は,素因数分解によって素数の積で表現できるのですが,1は何回かけても変わらないので,他の数を生み出すことはできなません。
そういう意味で,1は数の素とはなれないので,素数の仲間に入れないと考えることもできます。

1はかけ算の世界では,かけてもかけても何も変化を起こさない特殊な数なのですね。

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コメント 1

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大変分かりやすく、理屈から理解できました。
有用な記事をありがとうございました。
Googleの量子コンピューターについて調べているうちに、脱線しながら、なぜかここに来ました(笑)
ちなみに自分、文系の50おやじです。規格外ですみません(爆)
時間のあるときに他の記事も拝見させていただきます。
by お名前(必須) (2019-10-31 17:25) 

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