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日常生活に活用できる算数は学力低下の元? [算数教育の話]

最近の算数教育の中で,よく日常生活に算数を役立てる態度を育てるといったことが出てきます。
算数の学習指導要領の中にも非常によく出てくるワードです。

ですがよく考えてみてください。

日常生活で算数をどれだけ使いますか?

割合? 概算? 料理で比?

あとは四則演算(+-×÷)くらいですか。

角柱の体積やら比例・反比例のグラフやら,日常生活のなんの役に立つというのでしょうか。

まぁ,無理矢理役に立つ場面も作れと言われれば作れるかもしれませんが,普段生活している分にはほとんどの算数は使わないでしょう。

数学者の中には「役に立たないからこそ美しい」という方も多いです。
ラマヌジャンを見出したハーディという整数論の分野で活躍した偉大な数学者ですら,自分のしている純粋数学はなんの役にも立たないと豪語していたそうです。
実際は,その理論が戦時中の暗号を作り出すことに一役買ってしまうことになってしまうのですが。

数学の歴史上もっとも美しいと言われているオイラーの公式ですら,日常生活には何の役にも立っていません。

数学というのはあくまで思考の学問です。
つまり実際にあるものを試行錯誤したり実験したりして実証するのではなく,論理的な推論をもとに思考を展開してく学問です。
純粋数学では実験ではなく,すべて証明で話が進んでいきますので,数学の世界で証明されたことは絶対なんですね。
実験ですと,100回の実験で同じ結果が出たとしても,もしかしたら101回目の実験でそれに反する結果が出る可能性もありますが,数学では一度(間違いなく)証明されたことは,何度やってもそうなるのです。

数学を楽しんだり,興味を持ったりするのは,どう考えても日常生活に役に立つからではありません。
「思考そのものを楽しむ」ということが,数学を楽しむということなんだと思います。

日常生活に役に立つものしか勉強しないというのでは,数学ほぼ全てを勉強しなくて良いことになってしまいますね。

とはいえ,算数に限れば日常生活に役に立つことも少なくはないのですが,中学・高校の数学を本当の意味で楽しむ態度を育てるのであれば,小学校の算数においても,日常生活に役立てるというワードは,一刻も早く削除してほしいと個人的に思います。

みなさんは,どう考えていますでしょうか?

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