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角柱・円柱の体積の誤解【なぜ底面積×高さなのか?】 [算数教育の話]

小学校の算数で,特に算数が得意で塾などですでに角柱・円柱の体積の公式を学習している子どもに多い勘違いがあります。

角柱・円柱の体積=底面積×高さ

なのですが,なぜ底面積×高さで求められるのでしょうか?

と問うと,大体が誤った説明をしています。

どういった理解かというと,例えば円柱であれば,

「円形の紙を積み重ねると円柱ができるから」
「底面は円だから,それを高さの分だけ引き伸ばしてやれば,体積になるから」

といった理解の仕方です。

例えば,円盤のCDは一枚一枚は薄くても,それを積み重ねれば高さが出来て円柱になるようなイメージですね。

これは何となく積分の考えに通じるものがありますが,実はこの考えでは正しく円柱の体積がなぜ「底面積×高さ」で求められるのかの説明にはなっていません。

なぜなら,いくら円柱を薄く輪切りにしたところで,それら1つひとつは「厚みの薄い円柱」に変わりないからです。

下の図を見てください。
円柱の輪切り.png
これは,底面の半径が2cm,高さが6cmの円柱を,0.5cmと0.1cmの厚みの輪切りにした図です。それぞれの場合で円柱の体積を求める式を考えてみます。(円周率は3.14とします)
(1)厚み0.5cmの輪切りにした場合,その輪切り12個分が元の円柱の体積なので,
 (2×2×3.14×0.5)×12=75.36
(2)厚み0.1cmの輪切りにした場合,その輪切り60個分が元の円柱の体積なので,
 (2×2×3.14×0.1)×60=75.36

気づきましたでしょうか?
式中で青くした部分に注目してもらいたいのですが,いくら厚みを薄くしたところで,その輪切り1つひとつの体積を求めるときに「底面積×高さ」を使っているのです。

なぜ円柱の体積は「底面積×高さ」で求められるのかを説明するのに,「円柱の体積=底面積×高さ」という公式を使ってしまっているのです。
説明したい事柄を説明の中で使ってしまっては,説明になりませんね。

このように,「円柱を薄い円盤が積み重なったもの」と見ても,それは「底面積×高さ」で体積が求められることの説明にはならないのです。

ただし,こんなことを小学生に説明したとしても,ほとんどの子は理解できませんよね。
なので小学校の教科書にも円柱の体積の公式に関しては何となくはぐらかしたような書き方をしているのです。
しかし,角柱・円柱の体積の公式は小学校で習ってそれ以降はきちんと考える機会がほとんどないため,大人でも大多数の人は何となく「底面積×高さ」という公式を知っているだけで,その公式の説明(証明)は難しいのではないでしょうか?
同じようなことが円の面積の公式でも言えますね。
円の面積の公式「半径×半径×円周率」も小学校で習いますが,小学校でしか習わないので大人になってもなぜ円の面積の公式が成り立つのか,きちんと説明することは難しいのです。

話を角柱・円柱の体積に戻しますが,上のように輪切りにしてその体積を求める考え方は,公式の説明には適しませんでしたが,考え方自体は数学的には重要な考え方です。
例えば角錐や円錐,回転体のように,輪切りにした時に断面の面積が変化するような立体の体積を求めるときには有効な考え方ですね。
それこそ積分をして体積を求めることが必要になりますからね。

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コメント 4

算数苦手男

体積がなぜこの公式で求められるのか気になり検索しましたらこの
ブログを見つけ、拝見させて頂きました。

つまり、公式の証明はどのように考えればよろしいのでしょうか?
by 算数苦手男 (2020-08-07 16:11) 

算数むりみちゃん

結局は底面積を重ねていけば体積になる、という解釈で宜しいのでしょうか?
調べてくる課題があり調べさせて頂いたところこのブログを拝見させて頂いたのですが…( ; ; )
by 算数むりみちゃん (2020-08-24 18:39) 

たかた

結局屁理屈を重ねるだけで、大事なことは何も書いてない。読んだだけ時間の無駄でした。何が博士だよって。
by たかた (2022-10-27 23:18) 

りぼん

これは間違ってるんだよってことだけで、本当の説明は書いてないじゃん。意味わかんない。
by りぼん (2024-03-26 09:48) 

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